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ミッドナイトダーリンを追いかけて、
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ほんの少しだけ魔が差した。
魔というには、あまりにスパイスが効きすぎている。
 
ふわふわとしたわたがしのような女の子が大好き。
食べたらたぶん、甘い味が口の中いっぱいに広がって、溶けるようにすぐ消えちゃうんだ。甘くて、いくらでも求められる。
恋人が出来ても、そういうの他の甘さ全部に興味がなくなったって言ったらウソになる。
それを覆すくらい魅力的な子を、ずっと大切にするって決めている、今だってね。
 
「いーっぱい作りましたからね!慌てなくてもなくなりませんよ~!」
「シノミーの料理があれば華やかになるね」
「華やかなのは構いませんが、何故蛍光色の食べ物があるんですか…」
 
雑誌で対談した女優さんははすごく感じがよくて、まるで砂糖菓子みたい子だった。女の子の欲しいものを全部詰め込んだような人で、唇が少しだけ好きな子に似ている。舐めたらきっ
 
と甘いだろうな、と心の中を誰かに読まれるのが怖くて、すぐに視線を大きな瞳へと移した。たっぷりと塗られたマスカラは、俺の本音と一緒に黒く溶けていく。
瞬間的に感じたことをそのまま対談相手に伝えてみようと言葉にしてみたら、記者の人がこれはオフレコにしようか?なんて笑い、現場はちょっとした盛り上がりを見せたので、恐らく
 
アイドルとしてはあまり言っちゃいけないことだったんだ、と思った。(きっと近くにトキヤが居たら怒られてる)。だって、女の子を褒めて喜ばせる言葉なんて、見つからない。レン
 
じゃあるまいし?
 
「おーまーえらー…!俺を巻き込むなよ、絶対」
「癖になるよ?もしかすると背が伸びるかもね」
「あまり来栖を困らせるな、神宮寺」
 
コンスタントに終了した対談は、相手の子からの連絡先交換のおまけつき。
みっちりと教えられた虎の巻から考えると(というか、トキヤなら)断るのが絶対にベストなはず。煙の立たないところに、噂は…79日だっけ?とにかく、勘違いされそうなシチュエ
 
ーションも拒まなければならないのが、この職業の基本だ。しかしそこは状況反射で、もちろん、と答えてしまう。頭で考えていることと、口からでる言葉はいつも違う。こればかりは
 
自分の性格を恨むしかない。互いに出しあう携帯電話に下心は受信しなかった。オレンジ色のビタミンカラーのマニキュアに目を細める。美味しそうな果実の色。下唇が乾く。
 
「今度はプライベートでお話してくれる?」
「うん!いいよ、今日はありがとう!」
「もっと、音也くんのこと知りたいな」
「……、えーっと…」
 
次のスタジオに繋がる人通りの少ない廊下での会話は、周りの壁が台詞を吸収していく。番宣ポスターでさえ目があうことはない。
そこで久しぶりに触れてしまった女の子の肉体に、男としての性が戸惑いを隠しきれていない。押し付けるには勿体ないほど豊熟な柔らかさに、思わず後ずさりした。テレビの中で見る
 
よりずっと顔は小さくて、上目使いなんかは潤いまでもが完璧。見ないようにしていた唇の輪郭が美しく弧を描くと、とうとう喉が鳴った。肌の谷間からは目が離せない。薄いセーター
 
を隔てて守り抜いていた壁は容易く侵入を許している。
これは、絶対に、ダメ。
プライベートはないものと思え、煙を立たせては、噂は19日?いけない、気を緩めるな。頭の中の警告色がちかちかと点滅を繰り返す。トキヤの声がどんどん小さくなって、目をぎゅ
 
っと瞑った。掴んだ手首は折れてしまいそうなくらい、細い。
 
 
「レディ、それ以上うちの純情なメンバーを誘惑してどうするつもりだい?それとも、オレにヤキモチを焼かせたいのかな」
 
 
急にステレオになった世界に距離感がつかめずにいる。
どちらともなく離された隙間へ下品にならない程度に割り込むと、低くて甘い声が静かに熱を帯びて、踵に重心が乗った。
 
「イッキよりオレの方がずっと、楽しませてあげられるよ」
 
左手にはまだ、ナイロンとレースの間の柔らかな弾みが残っていた。
彼女の背丈に合わせて身を丸めたレンの後姿は、学生時代によく見たそれだ。さも、当然かのように振舞っている。アイドルとしてのレンは、挨拶のキスを上手くこなす。それが凄く嫌
 
だって、言ったのに。目を背けるどころか、気付けば、左手を握りしめてそこへ立ち尽くしているだけだった。
いつの間にか手をひらひらと振り交わした後、くるりと振り返って俺を見据えたレンは、笑って言葉を投げかける。
 
「パーティーを開こうと思うんだ。明日の夜にでもね。よかったらイッキもおいで」
「レン、俺…」
「イッキ待ちだよ、早く行かないとイッチーに怒られる」
 
 
この日の収録は、上の空だった。
まだ警告音が消えないでいる。とっくに、左手は指の先まで冷え切ったというのに。
 
 
「レン、これ開けていい?」
「もちろん。イッキのために買ってきたんだ」
 
多分、レンは怒ってる。
トキヤには、収録が終わってから散々怒られた。途中から、翔が宥めてくれていた気もするんだけど、そんなの全然入って来なくて、俺は後姿ばかり追いかける。
帰りに引き留めようともしたけれど、俺が手を伸ばすといつもレンはすり抜けてしまう。元々、交わすのが上手い子だから、俺相手なんて至極容易いのだろう。
 
いつまでたっても、片思いをしているみたい。
 
皆と一緒の空間で俺たちは隣で肩を並べているのに、ぽっかりと、げんこつ一個分隙間があいている。
それでも皆がいる手前で冷静を装っている、というわけでもない。露骨に態度が透けないのは尊敬するとこ。だってレンは、全部逆だから。
それと、俺しか分かんないだろうけど、匂いかな。レンが怒ってる時の匂いは、スパイスの効きすぎたホワイトムスクの匂いがする。ちょっと扇情的だ。ちょっと、ムカつく。
 
「……これはひどいな」
 
「あちゃー、べたべたになっちゃったね、ごめん大丈夫?」
「何をやってるんですか、だからあれほど気をつけなさいと言ったでしょう」
「那月ータオルー!」
「はいはーい!レンくん怪我はありませんか?」
「大丈夫だよ、ありがとう」
「そのまま洗い流してこい。床の掃除はしておく」
「こういうのはホストがやるものだ、オチビちゃんもそこまでやんなくていいよ、ありがとう」
 
 
「レン、行こう」
 
 
もう我慢が出来なかった。
俺が零した、砂糖のいっぱい入ってるスパークリングジュースのボトルはレンの服を汚して、それを受け止めようとしたら、フローリングにぶつかって粉々になって割れた。(あれはき
 
っと俺)。一番にトキヤが怒って、みんなは破片の心配と片付けをてきぱきとこなしていく。興醒めすることなんてない、空気は暖かい。だからいつだって、大事には至らない。でもそ
 
れだけじゃダメなんだ。
 
レンの腕を強引に引っ張って、密室を作った。
甘い果実の香りが弾けるように空間を埋めていく。ユニットバスのシャワーをすぐにひねると、ようやくレンが不愉快そうな顔をしてくれた。いや、いつからそんな顔をしているかはわ
 
からない。俺が大股でバスルームに連れ込んだことに苛立ってくれているのかな。でも、きっと、そんなの本心じゃない。レンは、本当に不愉快な時は、顔に出さない。ずっと見てるか
 
ら、レンの表情の変化はよくわかる。
 
「服、汚してごめん」
「さっきも謝ってくれただろ、気にしちゃいないよ」
「あと、ごめん」
 
なるほど、レンは汚れた服が更にシャワーの水をかけられ、濡れたことに不快感を覚えているようだった。形の良い眉毛がぐっと寄せられたまま、シャツを脱ぐ。水分を含んだ布が足元へと放られると、目だけじゃない、息でさえ止めさせられた。たれ目がちの瞼が濡れる。すぐに俺の視線に気付いた瞳が、真っ直ぐと射止めると、俺に時間を与えているのはレンなのだと思い知らされる。どこかに焦点があっているのか、視覚として判別できない。触れたい、あの時の不可抗力とはまた違った、絶対的な意思で、頭が動く。
 
「次は何?」
「こないだ、あの、他の、女の子と」
 
「それも、気にしていない」
 
 
働かない頭で、まとまらない言葉でも、ちゃんとレンのことは見てるから、すぐわかる。
 
 
「それに、今日は、イッキが浮気が出来たパーティーだよ」
 
 
寂しいの。
寂しくさせて、ごめん。
 
 
「何だよそれ」
 
「好きな子の幸せを喜ぶのが恋人の役目だろ?」
 
 
「レン、俺も怒るよ」
 
 
 
 
「大丈夫か、あいつら」
「グレープじゃ落ちねーよなぁ…」
「じゃあ皆でレンくんに新しいお洋服考えてあげましょう!」
「聖川さん、掃除機で吸いますから、ちりとりは大丈夫ですよ」
 
 
「っ…ぁ、イッキ、もう、」
「レンはずるいよ」
「はァ、あ…っ、イッ…ん…」
 
女の子の柔らかさとは比べ物にならない触り心地だ。ふわふわしているところなんて唇だけで、物足りないはずだ。
それでも、こんなに甘い。口の中いっぱいに広がっていく。奥歯にまで唾液が染み込んで、溶けてなくなる。だからもっと欲しい。俺はレンに関しては、すごく貪欲だから、口いっぱいに頬張っても足りない。求めているのが俺だけだと気付いてしまわらないように、言葉を塞いで飲み込む。水が跳ねる音で掻き消した思いが、全部排水溝へと流れて行く。
 
「俺ばっかで、ずるい」
「いッ、キ…っ、ぁ…、しつ、こい!」
 
「イってよ、レン」
 
縋っているようで、祈ってもいるようで。レンは、困った顔をして、そうやってすぐに俺の頭を撫でる。
俺ばっかなんてと思っていたけれど、濡れた表情は、ちゃんと誤魔化しながらも、ちゃんと俺だけに伝えてくれていた。舌に残った甘さの粒は、しっかりと奥歯で噛み潰せと主張する。
 
「嫌いにならないで」
 
小さく呟かれた本音まで流れていかないように、両手で抱きとめる。
首筋を舐めたら、すっかり肌が溶けきって、スパイスしか残っていなかった。
 
 
「それは、こっちの台詞なんだけどな」
 
 
オレだけを見ていて、なんて独占欲で、君が辟易しませんように。

 
 
うたた寝してたら、何かの映画がついてて、
「ダーリンが浮気したら?パーティー開いてお祝いしてあげるわ!」
っていう台詞が、夢なのか何なのか、はいってきて、うおー超神宮寺って思って
それだけの衝動で書いたよ~。なんの中身もねえwwww
でもほんとそれだけで、途中から飽きても、かいててたのしかった~
頭すっからかんだとこんなにも楽しいんだな~!!発見す!格好つけなくていいんだ!

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