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ミッドナイトダーリンを追いかけて、
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なんか、致命的な間違いをしたらしく、必死に一日使って直してたんだけど頭ぼんやりしてしまった。
仮眠とって出直してきます。


そんな感じで、イライラしてました。
気分転換にちょこちょこ書いてたら終わったからあげておく。
わたしのイライラとかがとても反映されていると思うよ^q^いろんないみで。
相変わらずポエムでたいへん短編。おなかすいた。


沖田×神楽で甘くも切なくもないやつ。

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「母上さま!」

あ、デジャヴ


5つも満たないガキの、その小さな体のどこに大声で泣き喚くだけの力があるというのだろう。
道の往来で顔をぐしゃぐしゃに歪め、誰かに気付いてもらう本能から、不快周波の固まりを放出している。
それをしなくなった大人たちは誰もが振り返るくせにすぐに顔を背けた。手を出したら、最後まで責任を取る必要性があったからだ。それに、この街の奴らはあの耳障りな音が遮断することができる特別な能力を身につけている。
遠巻きに女たちが何やら心配している様子を見せていたが、あんなのは優しさでも何でもない。多少はしたなくてもその手をひいてくれ。女ってのは、そういうほうがいい。


「おーおー威勢の良いこった」

これだからガキは嫌いだ。
人の話なんざ聞こうともしねえで、自分勝手に泣くばかり。それで、何を訴えてんだ。わかりやしない。とっととぐずるのを止めて親切なお巡りさんに住所と名前をテキパキ教えりゃいいのに。付いて来いと言ってもまるで聞いちゃいない。
面倒なので抱き上げると一丁前に暴れやがる。仕方がないので、腕の中で暴れさせたまま角を一つ曲がったとこの駄菓子屋へ向かった。ソーダーバーを片手で2つ取り出し、店番にすりゃなってねえババアにポケットから小銭をばらばらと渡す。


「金は出世払いで立て替えといてやらァ」


なんとも現金な奴である。
ちょいとアイスの袋を口を使って開き、そのビービー煩ぇ口に突っ込んでやりゃあすぐに泣き止んで、その冷たさに楽しんでいる。あ、こいつ俺の服に鼻水つけやがったな。
自分の分も同じ要領で口にしてガキに声をかけると、泣き腫らした目で俺を見つめ返す。ようやく自分の名前と、母親とはぐれた旨を零したので、もう一度大通りに戻り探してやることにした。俺の腕にしがみつく温度が熱い。大泣きした所為で熱がも一緒に放っているのだろうか、ガキはこんなにちっさい体で熱を体に宿している。

「母ちゃんどんな着物?」
「……薄色の…露芝模様…」

アイスをくわえたまま、ぐるりと辺りを見渡した。それらしき薄色の着物の女は見当たらない。おそらく母親のほうもこいつを探していることだろう。その場合、大通りに戻ってくる可能性のほうが高い。それでも見つからない場合屯所より奉行所の方に連絡をいれたおいたほうが確実だ。ふう、と一呼吸つき、裏通りへと続く道の手前で腕からガキをおろす。見上げられた視線を座りながらあわせ、棒になったアイスに舌打ちをした。

「今からアタリ偽装すっから手伝えよ」
「あたりぎそう?」
「おう、もう一個アイス食えっぞ」
「…あ、お兄ちゃん、僕」


アタリ。


「そんなとこで何してるアル。カツアゲか、カツアゲしてんのか」
「……今日はついてねーな…」

日差しもそこまで強くねぇってのに大げさに傘をさして、ボンボリのついた見慣れた髪を揺らしながら覗き込む女に今は用がない。というか、あった時なんてないのだけれど。何だかまたギャーギャーと似非中国人みてぇな言葉を耳元で騒いでいるのでオールシカトを決め込んで、自分のアイスバーにアタリの偽装を施す準備をしていた。

「いいか、ちょっと掠れた感じを演出すんのがポイントだ」

「おい、お前、こんな奴と一緒にいると将来サディスティックになるヨ!悪影響ネ!」
「おめーのが悪影響だ、早くどっか行けよ」
「将来あるガキほっとけないアル!仕事しろよ税金泥棒」
「今も仕事中なんだよ邪魔すんな」

「お前迷子アルか」

迷子、という言葉にああそうだ、と答えはしなかった。
突然の女の乱入にきょとんとしているガキは、自分が迷子であると認識したのか一瞬だけ顔を曇らせ、こくんと深く頷く。
その顔に俺は覚えがあった。可哀想な目で見られていることを自覚しているのである、自分にはちっともそんなこと思っちゃいないのに、周りが可哀想だと決め込むのだ。そして、明るく振舞うほど大人にはなれずに黙り込む。(大人になって、明るく振舞ったら振舞ったで可愛くねえ、むしろ痛々しいガキだと思われることを知った)下手すりゃこの時世突然捨てられても驚きはしない。だから、この町の奴らは同じように黙り込むのだろう。


「だったら早く探すネ、一緒に来たのマミー?パピー?」

「さっき探したんだよ、うろうろ探し回るよかココにいたほうが母親の方から探しやすいだろうが」
「こんなとこに座ってたってマミーはきっと不安ヨ!これだから女の気持ちがわからない男はガキなのよね」
「なのよねじゃねーよ、ガキにガキって言われたくねえんだけど。頼むからお前どっかいってくんね」

「ほらタケシ、探しにいくヨ」

「そいつの名前タケシじゃねーし、オイいい加減にしろよチャイナ」

手をとってあの馬鹿力で引っ張りながら走り出すと、まるでガキが一反木綿のようである。
重たいため息をつきながら二本分のアイスの棒をポケットにしまい、その後を急ぐが不思議と足取りは軽かった。久々にアタリアイスの本物を見たからに違いない。チャイナ娘は大声でガキが迷子であることを宣伝し、通りの店の中にまで入って主人にまで話を聞いていた。考えなしだとは思ったが、そこまで手当たりしだいだといっそ清清しい。

「沖田さん、ありゃなんです」
「ああ…、ガキがおまわりさんごっこしてんでィ」
「本物のお巡りさんがこないなとこで一服しててええんですかね」
「いいんじゃねーの、つうわけで、みたらし2本」
「あいよ」

団子屋の前を通りかかると、大声で暴れるように通りを駆ける小娘に何事かと出てきた主人に声をかけられた。表の椅子にどっかりと座り込みその様子を眺める。あんだけ元気よく泣き喚いていてたガキもさすがにその迫力満点のジェットコースターに酔ったのか、目をまわしていることだけはわかった。小奇麗な姉さんたちもその様子を不安げに見守っている。一部始終は理解しているのだろう。何とも、まあ…。

主人に出された茶をすすっていると俺の前をチャイナが横切り、急停止した。

「お前も協力しろヨ!コイツさっきから何も喋んないアル!」
「喋んねーんじゃなくて喋れねーんだよバーカ」
「タケシ、お母さんそんな子に育てた覚えはないネ!」
「だからタケシじゃねえよ」

ガキは疲れきっていたが、少しばかり楽しんでいるようにも見えた。
その繋がれた手に安堵しているのだろうか。元々力の強いコイツの力に負けじと、ぎゅっと強くその手を掴んでいた。
休憩して団子でも食え、と勧めるとガキは一丁前に遠慮を見せる。是非とも俺の分まで一口で食いやがったこの女に見習わせたいものである。

「おい、誰がてめーにやるっつった」
「3本あったら私が2本、タケシが1本アル」
「親父も変な気ィまわすんじゃねぇや」
「も一本サービスしますんで勘弁したってください」

どっと疲労を感じた身体に、ガキの視線はよく突き刺さる。口を一生懸命動かし、しっかり噛んでいる。育ちは悪くねぇんだろう。空いた串の代わりに、ポケットからアタリのアイスバーを握らせた。はにかんだ笑顔を向ける。ああ、やっぱりガキは苦手だ。

遠くの方で、ガキの正しい名を呼ぶ声がした。
チャイナの手を勢い良く離し、駆けていく。薄色の着物に抱きついて、再び泣き声をあげた。
一緒になって母親ばかりかチャイナまで涙を零している。これだから女ってのも苦手なのだ。ただ、女は少しばかりはしたないほうがいい。なりふり構わず見つけ出してくれるような、そんなのが。

散々頭を下げられ、後日改めて礼をしたいといわれたので、何故か真選組の近藤と万事屋の坂田になった。
ガキもすっかり調子を取り戻し、母親と同じように何度も礼を言う。ギリギリまでチャイナとよっぽど悪影響になるような会話をしていた。帰り際も、振り返りながら挨拶をされ、チャイナはぶんぶんと手を振る。踵を返し、団子屋の主人の計らいの一本を手に取った。

「タケシ、よかったネ!」
「お前迷子になったことあるか」
「私がそんなヘマすると思ってたら大間違いヨ」
「へぃへぃ、だったらそうだな…」


「は?なに…?コレ、くれるアルか」


「俺のこともああやってすぐに見つけ出してくれよ、お嬢さん」


腕を掴んで、走り回って、なりふりかまわずにいつか探してくれんじゃねえか、とも思った。
頬まで染まりゃ意味は通じてんだな、と安堵する。団子一個分の報酬で頼ァ、あとは出世払いで。

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